|
経済学では、海外の大学院に留学するのが割とメジャーな選択肢となっています。このページでは、海外、特にアメリカの大学院への進学を考えている人のための情報を紹介します。東大経済学部の学部生が留学に応募するケースを想定して話を進めます。これは文責(小島)がそうだったので、一番効果的なアドバイスができると考えたためです。院生や社会人、他学部・他大学の方は適当に割り引いて読んでください。また経済学大学院への留学一般については下松真之さんのホームページ(http://econphd.tripod.co.jp/)が非常に充実しているので、そちらも参考にしてください。
1. 必要なもの
アメリカの大学院の選考プロセスは日本のものと少し違っています。応募に必要なものは以下の通り(もちろん、大学によって微妙に違います。)
1.推薦状(教官から3通)
2.成績(大学前期・後期とも)
3.TOEFL(英語試験)
4.GRE(センター試験みたいなテスト)
5.Statement of Purpose (俗に言う「エッセイ」)
これらの書類とオンラインでのアプリケーションを、12月から1月ころに大学に提出しなければなりません。
また、必要ないものは(なんと!)
・経済学の試験
です。日本の大学院(東大を含む)では大学ごとに経済学の筆記試験や面接をやりますが、アメリカの大学院選考ではこういった試験はありません(世界中から応募があるので難しいんでしょう、多分)。そのため上記の書類をいかにそろえるかが重要になります。
1.1 推薦状
アメリカ大学院の選考では、推薦状が最も重要視されると言われています。推薦状は通常、3通要求されます。誰に推薦してもらうかについては、経済学の大学院である以上、経済学者からの推薦状をもらうのが望ましいでしょう(社会人の場合には職場の上司にもらう人も多いようですが)。つまり3人の教官から推薦状をもらうことが必要となります。さらに欲を言えば、推薦者は
@研究業績が国際的に評価されていて、
Aあなたのことをよく知っていて説得的な推薦ができる
ような人物が望ましいです。けれども特に学部から留学する場合には、3人の教官から中身のある推薦状を書いてもらうのは結構大変です。東大の場合、1通(人によっては2通)はゼミの指導教官を当てにできますが、残り2通は努力が必要でしょう。少人数講義を履修して積極的に参加するのは効果的です。推薦してもらいたい教授が大人数の講義しか持っていない場合には、質問を積極的に行うだけでなく、テストで良い点を取るのも重要なようです。とはいえあまり戦略的に動いてばかりなのも考え物ですが。
1.2 成績
成績が良いに越したことが無いのは当然ですが、特筆すべきは「数学(や統計)が非常に重視されている」ということです。大学によっては、成績表とは別に「履修した数学系科目の内容と成績をまとめた文書」を要求することさえあります。学部の数学科目(数学T・U)だけではなく大学院の数学(「経済学のための数学」)や数学系の少人数講義を取りましょう。また他学部特に数学科の数学を取るのも良いかも知れません。
ひとつ注意。応募時期が秋であるため、成績はその年の夏学期のものまでしか入りません。通年の講義も成績には載せられません。これは4年で院のコースワークをとる人には困りものです。但しエッセイや推薦状などで、「コースワークの前半試験でよい成績を修めた」なんてアピールするのは可能かも。
成績がどのくらい重視されているのかはよくわかりません。但し良い成績を、特に数学や上級科目で取っておけば、エッセイでアピールしたり推薦状で指摘してもらったりするという派生的な効果が望めます。
1.3 TOEFL
TOEFLは300点満点で、大学院で要求されるのは250点以上と言われています。試験は自分の好きな日程で何度でも受けられる(但し月1回まで)ので、何度も受けて目標を達成しましょう。試験の形式が独特なので、市販の問題集を解いたり繰り返し受験することで点数が大幅に上がるようです。大学にTOEFLの結果を送るにはETSという試験の実施団体に頼まなければいけないのですが、送るのに数週間かかるらしいです。そのため、目標点は遅くとも9月頃までには取ることが望ましいです。
TOEFL・GREの受験についてはプリンストン・レビュー(http://www.review.co.jp/tafs/)などが参考になります。
1.4 GRE
GREは、アメリカ大学院に応募するために必要なテストです。日本のように各大学が試験を実施するのではなく、GREを一度受けておけばどの大学にも使えます。受験方法はTOEFLと同様で好きな日時に受けられますが、一つ注意があります。GREもTOEFLと同じく何度も受けられますが、TOEFLと異なり、過去に受けたすべての成績が大学側に通知されます(***但し年限はあったかも。***)そこでTOEFLのように何度も受験するという方法は使えません。十分に過去問などを解いて、一発で目標点をとりましょう。但し2002年の秋から問題形式が一部変更になったので、最新の情報を得るように注意してください。
1.5 Statement of Purpose(SOP)
A4に2〜3ページくらいのショートエッセイ。自分の研究したいこと、なぜその大学に入りたいか、自分がいかに有望な応募者であるか、などということを書くのが普通のようです。経済大学院の選考ではSOPはあまり重視されないと言われていますが、実際のところは良く分かりません。
2. やっておくとよいこと
アプライに際してやっておくと良いことを挙げてみました(内容が一部重複しますがご容赦のほどを。)
1. TOEFL・GRE受験
2. 成績を上げておくこと
3. 論文
4. 奨学金への応募
2.1 TOEFL・GRE受験
受験準備は早くするのを薦めます。特にTOEFLは何度でも受験可能なので、アプライする年度の春学期のうちに目標の点数を取るつもりでやると良いでしょう。夏休みは意外と時間が取れないので(東大も受けるなら、院試のために論文を書いたり院試勉強をしなければなりません、)夏に全部片付けるといいうのはなかなか大変です。
2.2 成績を上げておくこと
選考において成績表がどれほど重視されているかはよくわかりません。しかし成績が良いと、推薦状の内容が良くなるという相乗効果が望めます。推薦状を書いてくださる教官の講義では特に良い成績を目指しましょう。同じ「優」でも、どれだけ良くできたかで推薦者の評価が変わるかもしれません。
上級科目(上級ミクロ・マクロなど)や数学をいろいろとってみるのがオススメです。
2.3 論文
出願する時には論文の提出は要求されませんが、出しても良いという大学が多いようです。選考では論文のウェイトは低いと言われています。しかしもしも院試論文や卒論の草稿が良いできならば、エッセイや推薦状を通じてアピールできます。
2.4 奨学金への応募
アメリカの大学院の授業料は非常に高額です(目安としては、年間2万〜3万ドルとか。)但しかなりの場合、授業料は免除となります。また、場合によっては生活費を出してくれることもあります。とはいえ、せっかく合格しても資金援助が得られないために入学できないというケースもやはり多いようです。そこで日本国内の、留学生のための奨学金に応募しましょう。出願期間はものによってまちまちです。5月くらい(フルブライトなど)から1月(Japan-IMF
Scholarship)までまちまちなので、締め切りを忘れないように気をつけましょう。
3 その他の注意
このガイドでは出願に的を絞って説明しましたが、複数の大学に合格した際、どこに行くか決めるのに迷うこともあります。自分がどこに行きたいかはっきり分からない場合には大学を見に行くのが最も手っ取り早いです。大学側がキャンパスビジットというイベントをやっていることが多いので、活用しましょう。
最後になりましたが、あまり考えすぎず、気楽にやってください。留学はあくまで、経済学を勉強する手段です。まずは勉強や研究を楽しみましょう。
|